暴力団の抗争みたいだね

不祥事が続く全日本柔道連盟全柔連)の“内部抗争”が本格化した。25日、東京・文京区の講道館で開かれた評議員会で、了徳寺健二評議員(64)が上村春樹会長(62)の早期辞任を求めて協議を要求。評議員同士で怒号が飛び交うなどヒートアップした。理事解任を議題とする臨時評議員会を約1カ月後に開催することで仕切り直しとなったが、混乱はまだまだ続きそうだ。谷亮子参院議員(37)ら外部、女性枠の新理事5人は理事会提案どおり選任された。

【写真で見る】理事解任を提案した了徳寺健二評議員

 “不祥事のデパート”全柔連で、見るに堪えない舌戦が繰り広げられた。評議員57人が出席(欠席2人)し、議事が新理事選任に進んだときだ。全理事の解任を論じるべきと求めた了徳寺健二評議員(千葉)の発言で、戦いの口火が切られた。

 議長の浅賀健一評議員が、今回の議案は「新理事の選任」限定と説明するが、「それは議長の見解。広い意味で解任も含まれるはず。理事解任を提案する」と了徳寺氏は譲らない。「大事なのは国民がどう受け止めるか。会長は堂々と(議論を)受けるべき」とたたみかけた。

 すると上村会長も応じた。「改革、改善は皆さんの支援なくしてできない。ここで意見を聞きたい」。解任するかどうかの決をとることを認めて、部屋の外に出ようとするシーンもあった。

 そこからは各評議員が次々に発言。「会長を支えよう」という声があれば、「理事を選んだのはわれわれ評議員。柔道界の体質の問題も、私たち指導者に責任がある」という冷静な意見も。やりとりでは失笑が漏れる場面もあったが、了徳寺氏が「最近は道場の入門者が減り、逆にやめる子が増えている」などと持論を展開して“独演会”状態となると、「議事進行!!」と怒号が起きた。上村会長の出身地・熊本の中林厚生評議員が「子供は増えている。上村会長に失礼だ」と怒り口調で応じると、了徳寺氏が「それは恫喝(どうかつ)ですか」と気色ばむなど、ムードは険悪になった。

 伏線は会議冒頭にあった。了徳寺氏は議長選任にあたって事務局推薦の浅賀氏に反発。同志の評議員を推薦し、無記名投票での採決を求めた。だが、挙手での採決を求める事務局側に大勢が賛同し、挙手により17-33で浅賀氏が選ばれた。「東北6県は続投を支持する。上村会長しかいない」と明言した沓沢行雄評議員(山形)のように会長支持派が多いことが判明。「あれで私の戦略が崩れた」と了徳寺氏は嘆いた。

 結局、激論は、後日の臨時評議員会開催を求めた了徳寺氏に会長が応じて仕切り直しに。会長は臨時評議員会開催の要請文書を受け、臨時理事会を招集することになる。開催が承認されれば、7月下旬以降の臨時評議員会で理事解任を協議する。解任の対象になるのは、今回新たに選ばれた理事を除く23人になる。

 上村会長は10月をめどに辞任すると24日に表明したばかりだが、異例の事態で先行きは不透明に。「ルールにのっとり粛々と進める」と話す上村会長に対し、了徳寺氏は「ぜひ世論の後押しを」と訴えた。